向晴の家 向晴の家
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Plan

向晴の家

■敷地:207.77㎡(62.85坪)
■建物:1F 68.73㎡(20.75坪) 2F 45.13㎡(13.62坪)延べ 113.86㎡(34.37坪)

Design concept

光満ちる生活を描く

「向晴の家」の住空間とデザイン

Produce: akihiro yamaguchi
Architect: ryohei takemori

―竹森さん設計の「向晴の家」は、それぞれ独自のコンセプトを持つモデルハウス「コンセプトハウス」として公募された社内コンペで、小山市の「灯影の家」に続き選ばれました。

竹森: はい、「灯影の家」の設計を任せてもらえることになったので、それと同様、「光」を主役にしながらも、対比になるような家を提案したいと、再びコンペに手を挙げました。小堀建設は、太陽の熱や光、風といった自然のエネルギーを住宅に利用するパッシブデザインをテーマにした住居の提案を基本にしています。2棟で「光」を共通したコンセプトとして打ち出せば、パッシブデザインのメッセージもより伝わると考えたのです。

山口: 設計担当と営業担当のペアを組んで挑むコンペだったので、竹森くんのなかで「灯影の家」のイメージが膨らんだ段階で、私に声を掛けてくれました。そこから2棟続けて組むことになりました。

小堀建設 設計部 竹森僚平

小堀建設 設計部 竹森僚平

―「灯影の家」とは、どのような点で対照的なのですか?

竹森: 「灯影の家」は夕景に映える、「帰りたくなる家」がイメージとして降りてきて、それをデザインに落としました。ペンダントライトの灯りがわが家のダイニングを優しく照らしている景色が大通りから見えたら……という構想からはじまりました。外壁の色も落ち着いたグレーのニュアンスカラーを選んでいます。それに対して、「向晴の家」は、昼間の明るい光を浴びて、きらりと光る白い家のイメージが浮かんできたのが最初です。

山口: 通常は、お客さまにご要望をヒアリングするところからスタートしますから、この発想の順番はコンセプトハウスならではですね。

竹森: 白く明るい外観に、植栽のグリーンが映えるイメージも同時に浮かんできました。ただ、接している道路や敷地の広さや形状から、駐車場をどう計画するかが肝でした。

山口: 毎日のことだから、ストレスを感じないで駐車できるようにするのはとても大切なことですからね。

竹森: 車の転回スペースを確保するために駐車場を設計した結果、広い庭のスペースを確保することが難しくなりました。ですので、駐車場・通路・庭の境界を曖昧にして、車が停まっていない部分は全部庭、と感じてもらえるような外構にしようと計画しました。

山口: 光に関して言うと、大きな吹き抜けがあるのは、「灯影の家」「向晴の家」に共通しているね。

竹森: そうですね。そこは2棟目もやるなら、必ず共通項として取り入れたいと思っていました。吹き抜けを介して上から光が降り注ぐのは、とても気持ちがいいものです。自然の光を浴びて不快に思う人はいないですよね。

小堀建設 営業部 山口晃弘

小堀建設 営業部 山口晃弘

―「向晴の家」は延床面積34.3坪。「灯影の家」の35坪よりも少しコンパクトですね。

山口: 5~6年前は、小堀建設で受注した平均の坪数は39坪ほどでした。それが昨年には33~34坪程度までコンパクトになっています。「向晴の家」は実際に建てられる家のおよそ平均くらいの広さですね。

竹森: 間取りや視線の工夫で、体感する広さはどうにでもなります。例えば、この家のリビングには南側に大きな掃き出し窓と、東側に大きめの腰窓があります。するとソファに座ったときに視線が双方向に抜け、広々と感じます。大きな掃き出し窓から光を浴びた庭の草木が見えると、気持ちもゆったりしますよね。

山口: 東側の窓から遠くに電車が通るのが見えるのもこの家の特徴です。

竹森: 家全体のボリュームを押さえるために、2階の主寝室や子ども部屋をコンパクトに設計しています。そもそも最近はテレビではなくスマホやタブレットで動画を見る人が多くなりましたよね。テレビボードを置く必要がなくなったら、主寝室は6帖ほどで十分とおっしゃるお客さまがほとんどです。

山口: 子ども部屋の収納は扉を付けない設計にしたのだよね?

竹森: はい。子ども部屋は4.5帖+収納、というのが常識のようになっていますが、扉をつけず、ハンガーポールだけ付けるのなら、4.5帖で収納も確保できます。ファミリークローゼットが1階にありますし、ポールだけでも十分だと考えました。

山口: 子ども部屋は最低限の数や広さにしたり、フレキシブルに使えるようにしたりというプランが増えてきていますね。勉強は、受験期に入るころまでは、リビングでするのが主流になっていますし、子どもはいずれ成長して出て行きますしね。

―間取りやインテリアの特徴は?

竹森: 間取りは比較的オーソドックスです。帰ったらリビングを通ってまっすぐ手を洗いに行けるように。洗面台を中心にして洗濯動線を一直線にとりました。ランドリールームとファミリークローゼットが直線上にあるのは、お客さまからとてもご好評いただいている動線です。
山口: リビングの主役は、電車が遠くに見える東面の腰窓ですね。電車が通ると、お子さんは大喜びでしょうし、大人も遠くから聞こえる電車の音には癒やされるものです。
竹森: その主役の腰窓には、窓枠に本物の木を使いました。メンテナンスの面から、天然木を使うことに抵抗を持たれる方もいらっしゃるのですが、ぜひこの本物の木の色や手触り、香りを楽しんでもらえたらな、という私からの提案です。外壁の一部にも木を使いました。私自身、和モダンが好きなんです。シンプルなデザインの一部に木を使うだけで、ぐっと落ち着ける空間になると感じています。

―性能や機能はいかがですか?

山口: 性能は、気密断熱耐震いずれも、小堀建設が自信を持ってご提供している標準仕様のものです。断熱材は、発泡系(ネオマフォーム)を使用。下から上がってくる寒さ対策として床の断熱材は北海道の基準値の1.3倍のもの、実に8cmも厚みがあるものを使用しています。耐震は許容応力度計算による耐震等級3を取得できるよう、設計しています。

竹森: 水廻りなどの設備は、標準仕様より少しグレードアップしたものを入れています。ちょっと背伸びをすれば届くくらい、という想定です。

山口: このコンセプトハウスは、間取りや設備などが等身大の家ですから、これから注文住宅を考えてらっしゃる方に、リアルな家づくりの参考にしていただきたいと考えています。

竹森: 見学に来ていただく際には、夕景が印象的な「灯影の家」と、昼間の明るい光が印象的なこの「向晴の家」、ぜひ両方を見比べて、ご家族のお好みを探っていただきたいです。

(インタビュー 2024年3月)

光合成

ぽーん、とブルーのゴムボールが空高く蹴り上げられた。
5歳の息子はともかく、3歳の娘も、こんなにサッカー上手だったっけ。
茂みの奥に入り込んだボールを見つけ出し、子どもたちのほうへ蹴り返す。
そこに「お肉焼けたよー」と、夫の声。みんなで走ってテントへ戻る。

「んー!今日のタンドリーチキン、過去最高の出来じゃない?」
「いつもは市販のカレー粉だけど、今回はスパイスを自分でミックスしてみたんだ」
夫は網から目を離さず、カチカチとトングを鳴らしている。その背中は、ちょっと自慢げだ。

こちらも夫お手製のスペアリブを頬張りながら、長男が言う。
「そういえば保育園の友だちに、よくキャンプ行くのなんで?って聞かれた」
「外で食べるごはんはおいしいからね。炭で焼く肉はやっぱり格別だよ」と、答える夫。
「えー、なんか食いしんぼう家族みたいじゃん」と、私。

お昼ごはんを食べたばかりだというのに、子どもたちはもう遊びに戻りたそうだ。
「今度はぼくがチビたちを遊ばせてくるから、ちょっと休んでなよ」
「助かる~、さっきのサッカーでヘトヘトなの」
シャボン玉やる!と走り出す子どもたちと、それを追う夫を見届け、
私は最近買ったアウトドア用のリクライニングチェアに深く腰掛ける。

見上げると、ぽっかりのんびり、雲がいくつも浮かんでいる。
どこからかウグイスの声。もう初夏なのに、まだ鳴いているんだ。
ぽかぽかとした陽気を全身に受けていると、
万年冷え性の私の手先、足先へじんわりと血液がめぐり出すのがわかった。

「そうか、空だ」

と、思わずつぶやく。
キャンプへ行きたくなる理由、それって空を感じるためじゃないかな。
もちろん空なんてどこでも見られるけど、街のなかに切りとられた小さな空じゃなくて
もっと広い空と向き合う時間が、人には、少なくとも私には必要な気がする。

そう、ちょうど植物が生きるために太陽の光を浴びて光合成をするように、
すこやかに生きるために私のなかの何かが、
もっと空を感じなさい、光を浴びなさいと言っているのかもしれない。

そんなことを考えていたら、何だか、まぶたが重くなってきた。
もうちょっとだけ、この暖かな光を浴びていよう。
あの元気な声で、子どもたちが呼びに来るまで。

KOHARE NO IE. Original story

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